クロガネ・ジェネシス

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第一章 激闘湿地地帯

 

火乃木変身!



 それから数時間、火乃木とアーネスカはエストの町にある店を見てまわった。火乃木はどちらかと言うとアーネスカに引っ張りまわされてばかりいた。しかし、それでも火乃木は楽しそうに買い物を楽しんでいた。

 そして、ほんのちょっと遅い昼食。適当な店で食事をするために入った店で、適当なものを注文してからアーネスカは火乃木に問いかけた。

「ねぇ火乃木。前々から気になっていたことがあるんだけどさ」

「なに?」

 火乃木はお冷を一口含む。水自体はぬるいが、氷のおかげである程度は冷えている。

「あんたの一人称……なんでボクなの?」

「え?」

「え? じゃなくてさ……。普通女の子って自分のこと『あたし』か『私』でしょ?」

「う〜それについては黙秘させてください……」

 苦笑いを浮かべながら火乃木は言う。

 ――これは何かあるわね……。

 アーネスカはそう思い、邪悪な笑みを浮かべた。アーネスカは行動力のある女性だ。自分が気になることは追求しようとする。それは人間の性であり、人間が人間たる所以《ゆえん》だ。

 アーネスカはそう考えている。だから火乃木のように隠されると余計に気になって仕方がない。故《ゆえ》にアーネスカは火乃木の黙秘を認めなかった。

「黙秘することを拒否する!」

「え〜!?」

「言えない理由でもあるの……?」

 アーネスカは笑いながら凄む。それは半分脅迫めいた笑みだった。

「大人しく吐いちゃいなさい。楽になるわよ〜?」

「う〜……これだけは恥ずかしくて言えないの〜!」

「あっそう。今日買い物が終わったらあんたの新しい服装を零児に見せる予定だったけど、予定変更して大事なところをギリギリ隠してるだけの水着で零児の前に出ようか?」

「へ? だ、大事なところ?」

「つまり……」

 アーネスカは火乃木に耳打ちする。その内容を聞いて火乃木は耳まで真っ赤に染まった。

「そ、それは絶対いや!!」

「じゃあ……分かってるわね?」

「うう〜。アーネスカがなんか怖いよ〜」

「大丈夫だって、あんたの秘密はあたしが握っといてあげるから」

「うううう。えっとね」

 仕方なく火乃木は自分の一人称について語った。

「……いと思ったから」

「へ?」

 火乃木の声はつぶやくようでいて、ほとんど聞き取れないほど小さい。アーネスカは火乃木の口元まで耳を運んだ。

「だから! ……そうだと思ったから」

「聞こえないって……」

「だ、だから……」

 火乃木は一呼吸おいてもう一度言った。

「……その方が……強いと思ったから……だよ」

「ハッ?」

「レイちゃんの一人称ってオレ……でしょ? ボクもオレって言ったほうが少しは強く慣れそうな気がしたから……でもレイちゃんは『それじゃ可愛げがなくなるからせめてボクにしろ』って言ったから……」

「それでボクって言ってるわけ?」

「う、うん……そうやって生活してるうちに、ボク以外の一人称が出てこなくなっちゃったの……」

「…………」

 アーネスカは絶句した。言葉が出てこない。自分を可愛く見せるためや、女が男の影武者を勤めたりするときに一時的に自分の一人称を変更すると言うのはたまにある話だ。

 しかし、火乃木の理由は単にその方が強そうだったから。なんと言う幼稚な理由だろう。火乃木はそれだけ鉄零児という男に依存しているのだ。

「その当時あんたの年齢は?」

「じゅ、10歳だけど……」

「……ああ、そう」

 ある種馬鹿らしいとさえいえる理由にアーネスカはため息をついた。そんな子供の頃のことなら仕方ないかと思ったのだ。

「もう! だから嫌だったんだよ! 今更自分の一人称を変えろって言われたって無理だし、だからボクで通してるんだよ!」

「分かった分かった! あたしが悪かったわよ」

 雰囲気が気まずいので、それを吹っ飛ばす意味も込めて話題を変更することにした。

「じゃあ、もう1つ質問するわね? OK?」

「もう、逃れられないような気がするから、なんでも答えるよ……」

 アーネスカの探究心。それを恐ろしいほど感じながら火乃木は引きつった笑いを浮かべた。

「あんたが零児のことを好きな理由について……かな?」

「……」

「人間と亜人はお互いをにらみ合ってる。これは亜人側が自らの意思で人間に敵対しているからだけど、あんたはどういう理由でそれから外れているわけ?」

「ボクもレイちゃんと出会う前までは人間は悪い奴だって思ってたよ。でも実際にレイちゃんに会って、それは間違ってるってことに気づいたの」

「どうして?」

「ボクはね……レイちゃんに助けられたの。人間に捕まって処刑されるところだったときに……ね。ママともはぐれて、人間に……亜人としての姿を見られて、問答無用で捕まって、それで斬首刑って言うのかな? 首を切り落とす大きな刃物。あれが落とされる直前にレイちゃんはボクを助けてくれたんだ」

「そんなことが……」

「死にたくなくて、泣いてばかりいたボクを助けてくれて、それからずっと一緒にいた。その当時はレイちゃんのこと兄ちゃんって呼んでた。そして、いつの間にか男の人として好きになってた。ただそれだけだよ」

「それだけ……ねぇ……」

「だから……決めたんだ。ボクは人間として生きるって。亜人としてじゃない、人間として生きてさえいければ、ボクにも居場所があるかもしれないって思ったの」

「なるほどね……。じゃあなおさら、零児を落とすために頑張らないとね」

「……! うん!」

 話していた内容とは裏腹にアーネスカは明るく火乃木と話をしている。それはひょっとしたら不謹慎に感じるかもしれない。しかし、アーネスカは聞いておいて損はなかったと思った。

 少なくとも、火乃木と言う友人のことを知ることができた。アーネスカはそれが嬉しかった。



 時を同じくして。

 鉄零児《くろがねれいじ》は現在泊まっている宿の自室でボーっと空を眺めていた。

 部屋に備え付けられている机にはペンと数枚の紙がいくつも乗っている。零児は朝食後ずっと自室であることを考えていた。机に乗っている紙やペンはそれに関するメモだ。

 ずっと頭を働かせて考え事をしていたため、少し疲れたのか一休みとばかりに零児は天気のいい空をボーっと眺めていたのだ。

 その時だった。

 自分以外の誰かの魔力の気配を感じた。

 魔力は通常触ることも感じ取ることも出来ない。

 魔力に触れると言うのはいわば雑巾に含まれた水分に触れると言うことと同じだ。それは魔力が込められた魔術師の杖を触ることで間接的に魔力に触れることになる。

 しかし、今零児は魔力が込められたものに触れてはいない。魔力そのものを感じたわけでもない、感じたのはあくまで気配。

 そう、魔力の気配だ。

 そんな独特の表現でしか言い表せない魔術を操る人間を零児は1人しか知らない。

「なにも堂々とノックして入ってくればいいじゃないか。進さん……」

 その声と同時に零児の影の中から1人の男が現れた。

「忍ぶ身ゆえ……な」

 それは影に潜む特殊な魔術を得意とする男、進影拾朗《しんえいじゅうろう》その人だった。

「随分早いな。もうノーヴァスの館の探索は終わったのか?」

「うむ。それほど目を見張るものがあったわけでもなかった。奴は生態兵器開発のための資金提供者でしかなかいことが分かったくらいで、あとは何も」

「そっか……」

「今回お主の前に現れたのはお主の状態が気になったからだ」

「俺の状態?」

「お主の左腕……初見では用件のみを伝えるつもりだったからな。事情を後に聞こうと思っていた。して聞くが、何故《なにゆえ》左腕を失うような事態に……」

「ああ、これな……」

 言われて零児は自分の左腕をみた。ひじから先が失われており、行動には大きく制限がかかっている状態だ。もどかしいことが多いこともあるし、イライラすることも確かにある。

「ま、若気の至りってことでちょっと無茶しちまっただけさ。進さんが気にするようなことではないよ」

「お主が気にしていないのであれば別にそれはそれで構わんのだがな。幻視痛とかは感じていないか?」

 幻視痛とは腕や足を失った人間が、本来存在しなくなった部位を痛いと感じる現象だ。零児の場合既になくなった左腕を痛いと感じるかどうかと進は問うている。

「そういうことは今のところないな。大丈夫、左腕がなくなったくらいで悲観するほど、俺の神経柔じゃないさ。それより、いい人形師を探して義手を作ってもらおうと思ってるよ」

「そうか、思いのほか元気で安心したぞ。いい人形師なら拙者に知り合いが1人いるが、なんなら紹介状を書いてやっても良いぞ?」

「! 本当か!?」

 零児としては左腕がない状態と言うのはいいことではない。義手を作ってくれる人間を紹介してくれると言うのは零児にとって願ったり適ったりといったところだ。

 進は視線を机に向ける。

「ちょっと机を借りるぞ」

 机の上にあるペンと数枚の紙切れを見つけ、零児が座っていた椅子に腰を下ろす。

「……これはなんだ?」

 進は零児が書きとめたメモを見ながらそう言う。

「ああ、それ。義手が仮に出来たとしたときを想定して、今のうちに新しい魔術の開発でもしておこうと思ってさ。そこに書かれているのは、義手を魔術媒体とした魔術のイメージ図さ」

「ふむ……。中々興味深い内容だ」

「まあ、今の段階でそんなの考えていても、仕方がないことは分かっているんだけどな」

「いや、未来のことを考えて行動すると言うのはとても大事なことだ。今のうちにこういうものを作って置いてもいいだろう」

 言って進は机の上に置いてあった紙の中から裏表供に白紙の紙を一枚取り出して、ペンを走らせる。

 その作業はものの数十秒で終わった。そしてその紹介状を丁寧に折り、別の紙に包む。そして、それを零児に渡した。

「簡易な紹介状ではあるが、それさえあればあの人はお主に協力してくれる」

「あの人?」

 あの人とだけ言われても零児には義手を作れるほどの才能を持った人形師に心当たりはない。

「ミス・レットスティール。フルネームは、レットスティール・ドゥ・レイケン。人形師として、類稀《たぐいまれ》なる才能を持った、医者兼人形師だ」

「医者でもあり人形師でもあるってことか?」

「そうだ。かなりの変わり者ではあるが、医者としても人形師としても一流の魔術師だ。以前仕事の折に合ったことがあってな。そのときはエルノク国に籍を置いていた。きっとお主の力になってくれることだろう」

「エルノクにいるってんなら、丁度いいな。俺達の目的もエルノクなわけだし」

「もっとも……今もエルノクにいればの話ではあるがな」

「どういうことだよ?」

「さっきも言ったとおり、ミス・レットスティールは変わり者でな。一定期間ごとに拠点を変えて活動しているのだ。なんでも魔法の域に達した魔術を完成させてしまったために、ルーセリアや他の国の魔術師ギルドに魔法の封印指定をかけられることを恐れてのことらしい」

 ――どんな人物だよ……それ?

 零児は心の中でそう突っ込んだ。人形師が魔法の領域にまで達成してしまった魔術を作るなんてありえるのか?

 魔法と言うものはいくつもの魔術を複合的に組み合わせることによって現象の領域に達してしまった魔術、または魔術装置のことを指す場合がある。

 『場合がある』と言うのは、魔法とは一概にそれだけで括《くく》れるものではないからだ。

 人形師でありながら医者でもあり、魔法の領域に達成した魔術を操る人。零児にはそれがどんな人物なのか想像しかねていた。

「まあ、会ってみれば分かることだ。それより、明後日の大蛇討伐だが、拙者も参加することにしよう。今のお主を見ていると不安でしょうがないからな」

「いつまでもガキ扱いしないでもらいたいな!」

「フッ……それだけ噛み付く度胸があるなら心配いらないかもしれんな。では、御免!」

 進はそれだけ言い残し、部屋の窓からその姿を消した。

 ここは2階なのだが、進に限っては心配無用だ。そう思い、零児は進に書いてもらった紹介状を自分の着ている上着のポケットに収めておくことにした。

 エルノクにたどり着くことさえ出来れば、俺の左腕の義手が手に入るかもしれない。

 そう考えると心が躍った。

 何せ左腕を失って以来、火乃木は零児にスプーンなどで口に食事を運ぶことを強要され、腰に剣を下げることすら誰かしらの力を必要としてきた。

 左腕が使えない状態から脱却できるのならこれは願ってもないことだ。

 ――早く……エルノクにたどり着きたいところだぜ……!

 目標があれば人間の行動力は飛躍的に高まる。今の零児はまさにその状態だ。一言で言えば楽しみなのだ。

「どれ、それじゃあ新しい魔術のイメージ図を完成させてしまおうかね」

 そういって、ベッドから腰を下ろし、机に向かう。

 その時だった。コンコンと誰かが扉をノックする音が聞こえた。

 ――ん?

「開いてるよ」

 零児はそういって扉をノックした人物に扉を開けるよう促す。

 扉が開き姿を現したのはアーネスカだった。

「おっす! 元気してる?」

「おう。元気だけど、どうしたんだ? そっちから俺の部屋を訪ねてくるのは珍しいじゃないか」

「あんたに見せたいものがあってね」

「見せたいもの?」

 なんだろう? と疑問に思う。

「火乃木ー! 入ってきなさい……って火乃木!」

 アーネスカは慌てて部屋の外にいるであろう火乃木を引っ張ってくる。

「……?」

「今更なに恥ずかしがってんのよ! ここまできたらもう見せるしかないでしょう!」

「む、ムリムリムリムリ! やっぱりボクにはこんな格好……」

「大丈夫! 堂々としてればいいのよ! 零児だって馬鹿になんかしないって!」

 ――あの聞こえてるんだけど……。

 一体何が起こっているだ? と気にしつつ傍観していると、アーネスカが力ずくで火乃木を引っ張り部屋の中に入れた。

「うわぁ! ……あ」

「ひ、火乃木!?」

「うわぁぁぁぁ、あう、あうあうあうあ……あ」

 火乃木が何か言おうと口をパクパク動かすがまるで言葉になっていない。

 零児もまた火乃木の格好を見て驚きを隠せないでいた。

 黒のランニングシャツの上から白を基調とした色合いの服を身につけている。しかし、胸の谷間や肩、へそは完全に丸見えで、健康そうな肌がはっきりと露出している。

 スカートも太ももがほとんど見えるミニスカートだ。ストレートに伸びた足も健康体であることをこれでもかと言わんばかりに強調している。

 全身白だが、ほんのりと紫がかっており、腰まで伸びた長い黒髪と相まって清楚な色気をかもし出している。

 火乃木が身に着ける服にしては色っぽすぎる! 零児ははっきりと思った。

 火乃木と言えば常にデニム生地のズボンであり、露出なんて精々半袖の時のひじから先程度のものだ。

 ここまで露出した火乃木の姿なんて想像したことすらない。

「あ、あわわわわ……」

「ほら、火乃木! 零児になんか言ってやんなさいよ!」

「………………」

 零児は言葉を失ったまま立ち尽くしている。どう反応すればいいのか零児自身も分かりかねているのだ。

「あたしのコーディネートよ! ほら零児! 似合うって言いなさい!」

 ――そんなこと言われたって……。

「あの……レイちゃん……」

「あ、ああ……」

「に、似合う……かな?」

「あ、ああその……まあ……」

 どう言ったものか逡巡《しゅんじゅん》としながら、零児はその答えを出した。

「その……可愛いと思うぞ。凄く……」

「え?」

「だ、だから……似あってるぞとても、可愛いと思う……うん」

「ほんと……?」

「ああ」

「ほんとにほんと……?」

 零児とて馬鹿ではない。火乃木がこんな格好すること事態大事件なのだ。アーネスカに連れ添われて無理やりこんな服を着せられたに違いないことはわかる。しかし、その服を着ることによって、火乃木が零児に何かしらの答えを求めていることもわかる。

 そんな状況で火乃木の格好を平然と馬鹿にすることなど出来ない。

 今まで着たことのない服を始めて着て、それを他人に見せるのは結構勇気がいるものだ。

 だからこそ零児は真面目に答えざるを得ない。その答えを。

「ほんとにほんとだ……。似合ってるよ」

「…………た」

「?」

 火乃木の肩が震えている。何か悪いことを言ったのかと、零児もアーネスカも思った。しかし、次の瞬間。

「やったああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 火乃木は全身でその喜びを表現した。そして全速全身で零児の部屋を出た。

「いたぁ!」

 その途端アーネスカと肩が衝突し、アーネスカがよろけた。しかし、嬉しさのあまり火乃木はそんなことにすら気づかない。火乃木はアーネスカをほったらかしにして女性人4人が泊まっている部屋に戻っていった。

「ちょ、ちょっと火乃木! 待ちなさいよ!」

 アーネスカは慌てて火乃木の後を追った。

「…………」

 残された零児は何がなんだかよく分からないこの状況に呆然としているほかなかった。



   火乃木は自分達が泊まっている部屋備え付けられている机にかじりつく様に向き合って何かを必死に書いている。アーネスカは火乃木の予想外の行動にただただ驚いた。なぜ、火乃木がこんなにも喜んでいるのか。まあ、好きな男に可愛いといわれて嬉しくない女などいないだろうから気持ちが分からなくもない。しかし、火乃木の場合は多少、いやかなりオーバーである。

 アーネスカは火乃木に気づかれないようにそっと火乃木が書いている何かを覗き込んだ。そこには……。

『嬉しい! 嬉しい! チョー嬉しい! レイちゃんが始めてほめてくれた! レイちゃんに可愛いって言ってもらえた! 似合うって……』

 火乃木が書いているのは日記だった。今の喜びを忘れないように、今のこの気持ちを忘れないように火乃木は必死に日記帳にペンを走らせているのだ。

 ――オーバーねぇ……でも、こんなに喜んでくれるなら一緒に買い物に行った甲斐はあったかな?



  「へ〜それで火乃木ちゃん。あんなにニコニコしてたんだ」

 その日の夜。露天風呂にてネルがそんなことを口にした。

 あの後火乃木はとてつもないほどに上機嫌で、笑顔を絶やさなかった。ネルもシャロンもその理由が分からなかったから、ただただ驚くしかなかったのだがその理由を聞いて納得した。

「レイちゃんに可愛いなんていってもらったの……初めてだったから。ずっと……ボクには女の子らしい服装とは無縁だって思ってたから……」

 まだ胸のドキドキが止まらない。心が震える。零児の言葉がいつまでも耳から離れない。

「ま、あたしがちゃんとコーディネートした甲斐があったってことね。連れ出してあげてよかったわ」

「…………」

 そんな火乃木の状態を見てシャロンは少しばかり面白くなさそうな顔をしている。シャロンにとっても零児は大切な存在であり、独占したい存在なのだ。火乃木が零児と関係することでここまではしゃいでいるのは面白くない。

「負けてられないね、シャロンちゃん」

 それを察してネルはシャロンに言った。

「……私も……服……買う」

「オッケーじゃあ、シャロンちゃんは私が服選んであげるよ!」

「……(コクン)」

 女達の夜はふけていった。

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